JPEGやMPEGでも、RGB色画像を一次/二次画像に分解することを行っている。 ここでは、LMNシステムを例として取り上げる。
色画像をこのように分解する利点は二つある。1つは白黒ピクチャを作るとき に輝度Lスクリーンしか見ないですむ点である。もう1つは、輝度データと色 データを効果的に無相関にするので、圧縮によいという点である。
R,G,BとLチャネルの画像は似たような複雑さをもち、圧縮しても同じようなフ ァイルサイズになる。それに比べて、MスクリーンとNスクリーンは同等の品質 を保つのにスクリーンLに比べて通常4分の1のサイズしか要らない。ゆえ に、LMNではRGBの半分のサイズに圧縮できる。
LMNのスクリーン画像を各々で圧縮するとき、歪み率(別訳:減衰率)は同一 にしておくべきであろうか、それとも異なる値にするべきであろうか。式 11.2.1をもとに、RGB誤差を最小化するために、RGBの歪みを式11.2.2の ように評価する。この評価結果から、もしスクリーンLが歪み率で探 索されるとすると、スクリーンMとスクリーンは歪み率 で探索されるべきであること がわかるが、これはとほとんど違いがないので全てのスクリーンに 同じを使用しても見分けられない。
もしL,M,Nがこの順番に圧縮されるなら、RGB誤差を最小にする正しい処理は式 11.2.2を変形した式11.2.3から次のようになると考えられる。
実際には、歪み率は他の要因でも変化させることができる。例えば、人の目は 紫や青に比べて黄色と緑に敏感である。
また、印刷画像とディスプレイ上の画像では反応は異なる。まぶしいスクリー ン上の画像では、色情報は少なくてよい。実際、ベースラインJPEGやMPEGで は、M,Nスクリーンは量子化が粗いだけでなく、解像度も4分の1である。
フラクタルシステムではM,Nスクリーンを4分の1の解像度にすることに意味 はないが、歪み値を変化させることは考えられる。