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第158回情報工学談話会資料

亀田能成亀田の研究美濃研玄関美濃研の研究 1996/12/19
これまでも「計算機が社会に浸透しつつあり」とかいう出だしを書いたことが 過去数年何回もありましたが、近年の状態をみるとようやくこの言葉が枕言葉 ではなく実感を伴ったものになってきているようです。

計算機科学を志した人の多くは、初志としてロボットを作りたいとか、マザー コンピュータのような人工知能を自分の手で創造してみたいとか、夢があった と思います。その一つとして、私が漠然と抱いていたのは人間の視覚系をこの 手でコンピュータの上に創り出したい、というものでした。自分が視ているこ の世界を、計算機にも見せることができるのか、ということを大学に入って間 もなくのころから考えるようになりました。まだ計算機のなんたるかを知らな かった(アセンブラなんて何かすら分からなかった)当時の私ですから、こんな テーマはおこがましいといえばそれまでですが、視覚心理学などを一般教養で 学んで、自分なりに興味を持ってはいたのです。

これまでの私の研究上で得た知識や感覚、嗅覚からいえば、人間の視覚をその まま計算機上に実現するには、人間と計算機の間の溝は余りに深いというのが 現在の個人的見解です。しかしながら、同時にまた、チューリングマシン型計 算機に合わせた視覚系なら十分に様々なことが実装可能であるということにつ いても確信を得ました。

計算機に与える対象に関する知識を明確にし、その対象を画像/映像から抽出 する方法には対象に関する知識ではなく世界と画像/映像との関係のみに依存 するアルゴリズムのみを実装するようにすれば、ヒューリスティックスに依存 しない計算機視覚系(物体認識システム)が可能になります。

画像認識の分野には様々な研究分野がありますが、その中でもそうした理念に 近いのがモデルベースビジョンだと考えています。


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