主に参照相対位置からなる動き符号は、 動きベクトルとも呼ばれ、 0次冗長性と考えられる。ビデオクリップ中の物理的運動はフレーム系列を 通して連続的に為される。このフレーム間動きベクトル相互関係は 1次 動き冗長性として観測され、 動き速度で特徴づけられる。
符号化の複雑度とビデオクリップのクラスに応じて、動きベクトルは陽的ない し陰的に符号化される。陽的な例では、
続く10フレームでは、i番目フレームの(128,208)にある8x8ブロックは(i-1) 番目フレームの(120,200)から参照される。となるし、陰的な例では、フレームの連続性が決して失われない。例えば、
前フレームの(128,208)にある8x8ブロックは、先行するフレームの(120,200) から参照されているので、このフレームの同一ブロックは(120,200)近傍の区 域から参照される可能性が高いであろう。というようになる。実際には、動きベクトルは直接には符号化されず、 動きベクトル差分という類似した変数が用いられる。現在の領域の動きベク トルが近隣の動きベクトルと類似しているとすれば、 予測子はすでに符 号化された近隣領域に基づいて決定される。動きベクトル差分は、現在の動き ベクトルとこの予測子との差となる。
スクエアブロックタイリングの場合、予測子はMVa(左), MVb(上), MVc(右上) という近隣動きベクトルから構成できる(図10.1.4a)。