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実在の物体に対する実験と評価

女性人体モデルを使用して,実際の人体をビデオカメラで撮影した画像に対し て姿勢推定した例を図13に示す.ただし,根ノードは右足 首であり,その関節接続点の位置が既知で,関節角度のサンプリング間隔を10 度刻みとしている.右足首を根ノードとするのは,それが地面に接しているの で抽出が容易であろうと考えられる上に,シルエット画像では判別不能な足の 左右の区別がつけられるからである.使用した女性人体モデルは対象である女 性から作成したものである[10].モデル作成時の関節接 続点の設定や各ノード内の幾何形状の剛体部と関節角度依存部との境界の設定 が正確に行えていないため,CG画像の実験結果に比べると姿勢推定結果の精度 はいくらか落ちる.画像をビデオカメラで撮影しているため,その大きさは横 320画素,縦360画素とCG画像の実験より粗い.同様に6例について実験を行 い,全部についての平均を求めるとであった.対象物体 の姿勢推定結果から,本方法が有効であることが分かる.

  
図 13: 女性の姿勢推定例

また,他の関節物体に本方法を適用した例として,人間の左手首を対象にした 実験を3例行った.その1例を図14に示す.手を対象にする 場合,前腕の位置が最も抽出しやすいと考えられるので,モデルの根ノードを 左手前腕とする.実験にあたって,その位置は既知とする.画像の大きさは横 448画素,縦400画素である.この実験ではモデルと対象物体との幾何形状が異 なるので,指の長さ等は若干一致しない.3例によるの平均は であった.

  
図 14: 左手首の姿勢推定例

これらの実験から,実在の物体に対しても本方法による関節物体の姿勢が推定 できることが実証された.実在の物体に対する実験においても,CGによる実験 の考察で挙げたような隠蔽の問題などは残されるが,これについては前節で述 べたように将来的に対応が可能である.



Yoshinari Kameda
平成7年5月23日 (火), 午後 11時20分47秒