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シルエットを利用した関節パラメータ決定

本節では、手指モデルを画像上に投影した領域とシルエットとの重畳情報をも とに、部品位置決定木を用いながら全ての剛体部品の位置を求めていく方法に ついて述べる。剛体部品の位置は、関節パラメータを決定すれば定まるので、 実際には関節パラメータを求めることになる。

前述のように、関節パラメータは22個あり、その全ての可動範囲を定義域 としてシルエットに対する最適解を全解探索によって求めることは、非効率的 である。本手法では、対象がシルエット画像であることから、面積を認識戦略 の鍵とする。一般に画像認識では、画像から得られる局所的特徴が張る探索空 間が巨大で、モデルの知識による探索空間の削減が非効率となることが多い。 本研究では面積のみを三次元形状推定の鍵とするので、探索空間の大きさが抑 制される。このような場合、構造的なモデリングを行っていれば、探索空間の 絞り込みが効率的に行える。

実際の処理は、以下の手順で行われる。

<関節パラメータの決定順序>

関節パラメータの決定は、逐次的に行われ、どの関節から処理を行っていくか は部品位置決定木の根から葉への探索によって決定される。探索中に親ノード から子ノードへと処理が進む際に、そのアークに対応する関節パラメータが決 定され、子ノードの剛体部品の位置が定まる。全てのノードが探索され、アー クに付随する関節パラメータが決定されれば、処理が終了する。

<各アークでの関節パラメータ決定>

関節パラメータ決定の手順において、ノードの処理順がと なったときのノードiでの処理を考える。ノードの子ノードへのアーク のうち、ノードへのアークjが選択されたとする。アークjに対応す る関節パラメータの可動範囲を一定の幅wでサンプリングし、そ れらの中央値をとする。投影関数は、 ノードjの剛体部品を関節パラメータで投影した時に、画素 pixに投影が存在すれば1を、そうでないとき0を返す。また、シルエッ ト関数は、ノードiの処理時点において、画素pixにシルエッ トが存在すれば1を、さもなくば0を返す。このとき、

を満たす関節パラメータ値を一時的な解とする。ここ で、は排他的論理和を表す演算子である。

さらにこの得られた中央値を含む定義域の幅wd個に分割 し、同様の処理を行ってd分探索を繰り返す。これをr回実行して得られた が、アークjの関節パラメータの最終的な解となる。この 二段階探索法は、必ずしも最適解を得られるとは限らないが、最適解に近い解 を与えることが多いので、実質上問題はない。

同一のシルエット領域に複数の剛体部品が投影され、その一方でどの剛体部品 の投影にも対応しないシルエット領域が残る可能性を排除するため、解が得られた直後に、次の処理をシルエット画像に対して行う。

これにより、各剛体部品は、それ以前にパラメータが決定した剛体部品の投影 領域が覆い残したシルエット領域を覆うように、その関節パラメータが決定さ れることになる。



Yoshinari Kameda
1997年04月03日 (木) 20時03分13秒 JST