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姿勢推定処理

 

姿勢推定処理は姿勢決定木を根ノードから葉ノードに向けて辿りながら進め る.いま,を処理済みのノード集合とし,中のノードを親に 持つ未処理ノードの集合を,残りのノードの集合をとする. 最初,には根ノードのみが存在し,他のノードは全てに含ま れる.

本処理では,全てのノードについて関節角度を順次決定していく.最終的に は,全てのノードがに含まれるようになるまで以下の姿勢推定処理を 行う.図3に処理の流れを示す.

  
図 3: 姿勢推定処理

  1. ノード選択  
    の中で,もっとも根ノードまでの段数の少ないノードiを選択 する.もしなら,姿勢推定結果が得られたことになるの で,処理終了.

  2. 未被覆領域の計算  
    に属す全てのノードを投影して,画像上に生成した領域を既被覆領域 Cと呼び,式(2)で表す.さらに,シルエット領域Sから既 被覆領域Cに相当する部分を削除したものを,未被覆領域とする.これは 式(3)のように表される.

      

  3. 関節角度候補の生成  
    ノードiの関節角度を決定するには,Sとの関係を調べなくてはな らない.は関節角度によって変化するので,一般的には,を関節角 度の関数として表現しそれを解析的に処理することが考えられる.しかし,本 研究では各ノードの幾何形状に制限がないので,ノードiの関節可動範囲を 一定間隔でサンプリングする方法を採る.すなわち,サンプリングされた関節 角度ごとにを生成し,Sの外側にはみでる領域が形状誤差限界面積r 以下であるようなサンプリング関節角度のみを関節角度候補とす る.なお,tはこれがノードit番目の関節角度候補であることを意味 する.は関節角度を要素とするベクト ルである.

     

    もし関節角度候補が一つも生成されなければ,処理6.へ 進む.

  4. 関節角度候補の評価  
    各関節角度候補について,式(5)に示されるよう な評価値を計算する(図4参照).

      
    図 4: 関節角度候補の画像上での評価

     

    は,ノードiの投影領域が未被覆領域をより広く被覆する ほど,よい評価値を与える.ここで留意すべきことは,と既被覆領域C とがどれだけ重畳しているかが評価に影響を与えないことである.式 (5)は,が既被覆領域Cといくら重畳しても構わない が未被覆領域をカバーするべきである,との考えに基づく面積を用いた評 価基準である.

    処理4.における姿勢決定木内の姿勢推定処理の進行の様子 を,図5に示す.

      
    図 5: 姿勢推定処理中の姿勢決定木の状態

  5. 関節角度の決定  
    の値の大きいものから順に,を並べ,リストを作成する. このとき関節角度候補の順番tを並べた順に付け替える.最初の関節角度候 補が,ノードiで採用される関節角度となる.ノードiに移され,その子ノードはに移される.処理1.に戻 る.

  6. 関節角度の再決定  
    関節角度候補がノードiにおいて一つも生成されないのは,それより根側の ノードのどれかで誤った関節角度が採用されているからである.そこで,ノー ドiから根ノードへ向けて木を辿り,未採用の関節角度候補を有する最初の ノードjを探す.このノードjにおいて,は現在採用されている関節 角度候補のリスト中の順位を表す.ノードjで採用されている関節角度候補 を棄却し,その次の関節角度候補を 新たに採用する.ノードjの子ノードをに移し,その子ノードに子 孫ノードがあれば,全てに帰属させる.処理1.へ戻る.



Yoshinari Kameda
平成7年5月23日 (火), 午後 11時20分47秒